インスタグラムで売上を増やす企業のテクニック6選

インスタグラムの行動観察調査レポート第5弾は、一連の調査で得られた知見をまとめた総集編。ユーザの利用実態やインサイトに基づき、企業アカウント運用で「やるべきこと・やらなくてよいこと」、インスタグラムマーケティングの効果を高めるテクニックを集約しました。

また、新たなインスタグラムマーケティングの方向性として「インパルスバズ」をご提案します。ビットエーが提唱する新手法を、ぜひ参考にしてください。

【サマリー】企業アカウントの運用ポイントと提案

企業アカウント運用における「やるべきこと」と「やらなくてよいこと」は以下の通りです。

【やるべきこと】
・一般ユーザ(個人)が口コミ投稿したくなる仕組み作り
・ユーザを惹きつけるハッシュタグを活用する

【やらなくてよいこと】
・一時的なフォロワー稼ぎ」で終わるキャンペーン
・ステマと誤解されるような発信の仕方

そして、インスタグラムマーケティングの新たな方向性として、以下の2点をご提案します。

【方向性の提案】
・「インパルスバズ」を促す仕組み作り
・効果測定にアンケート調査とユーザ行動観察を実施

 上記を6つの提言とし、次章よりそれぞれの詳細を解説していきます。

(1)「個人」が能動的に投稿したくなる仕組み作りが必須

インスタグラムマーケティングにおいて、企業が目指すべきは「一般ユーザの投稿を増やすこと」です。

インスタグラムユーザは心理的な距離が近い個人アカウント(=友人・知人・趣味つながりの人)を優先的にフォローする傾向があり、フォローアカウントの約5割は面識のある友人・知人。身近な人と相互フォローし、近況を報告し合うことが習慣になっています(第2回レポート参照)。

反対に、もともとよく知らない企業アカウントは心理的な距離が遠いため、フォロー対象から外れています(第1回レポート参照)。

閲覧の優先順位も同様です。心理的な距離が近いアカウントの投稿ほど丁寧に読み込み、彼・彼女達の「おすすめ情報」や「買ったもの・行った場所」を有益情報として捉えます。

そのため、「情報伝達の効率性」において企業アカウントは非効率。心理的な距離が遠ければ、どんなに有益な情報を発信してもターゲットには届きにくいのです。

運用の方向性としては、心理的な距離が近い一般ユーザに焦点をあて、能動的に投稿したくなる仕組みを考えるべきでしょう。

(2)ユーザを惹きつけるハッシュタグを活用する

一般ユーザの投稿・閲覧行動を活性化させるポイントは「タグ検索」です。

インスタグラムの3つの検索機能のうち、最も用いられているのは「ハッシュタグ検索」。普段、ユーザはフィードやストーリーズでさまざまな投稿をチェックしていますが、ピンポイントで知りたい情報にアクセスしたいときはタグ検索を多用しています(第3回レポート参照)。

そのため、ユーザを惹きつけるハッシュタグを用いれば、未フォローのユーザ(潜在顧客)も誘導しやすくなります。ハッシュタグはキャプション(写真や動画の説明文)に追加可能。文章の前後にまとめて記載するか、文中に単語の代わりに用いてもOKです。

ただし、ハッシュタグはやみくもに付けても意味がありません。まずは検索されやすい人気タグを調べ、傾向をつかみましょう。そして、商品の世界観にマッチし、かつターゲットの心を動かして「つい見たくなる・使いたくなる」キーワードを精査していきます。

店舗などは「ジオタグ(位置情報)」も活用

ハッシュタグのほか、ユーザの購買行動を促しやすくする機能としては「ジオタグ」も便利です。

ジオタグは、店舗や施設などの位置情報を投稿に追加する機能のこと。ジオタグを用いれば商品の取扱い店舗やセール実施店舗などを伝えやすく、近くにいるユーザの来店を促せます。また、位置情報で検索する潜在顧客にもリーチしやすくなるでしょう。

(3)「一時的なフォロワー稼ぎ」で終わるキャンペーンは不要

企業が行なうべきでないのは、長期的な効果が見込めないキャンペーンです。

インスタグラムでキャンペーンを実施するとフォロワー数が増えますが、効果は一時的なもの。ユーザが企業アカウントをフォローするおもな動機は「プレゼントキャンペーン」や「値引き・ポイント獲得」などのリターンです。これは調査でも明らかになりました(第2回レポート参照)。

そして、キャンペーンが終わればフォローを解除するか、フォローを維持したとしても投稿はスルーする傾向があります。

企業としては「一旦、フォローされれば投稿を見てもらえる。有益な情報を発信しているのだからファンになってくれるだろう」と期待しますが、そもそも企業の投稿は眼中にないのです。

友人・知人のように心理的な距離が近くないアカウントの場合、ユーザに直接アプローチしてもなかなか響かないのが現状。ですから、一時的なフォロワー稼ぎを続けていても、一向に効果は上がらないでしょう。心理的な距離を補う発想の転換が必要です。

(4)「ステマ」と誤解されるような発信の仕方はNG

言うまでもありませんが、サクラ行為とも言えるステマ(ステルスマーケティング)は控えてください。ステマはインフルエンサーや有名人の影響力を借りられるため拡散・宣伝効果が高いですが、宣伝であることを隠すと発覚したときに炎上してしまいます。

ステマによる炎上事例は国内外を問わず散見され、企業や商品のイメージを著しく低下させる結果となっています。ユーザに「騙された」と思われると、イメージ回復は困難です。ステマはハイリスク・ローリターンな手法であると認識しておきましょう。

現在、日本ではステマを直接的に規制する法律はありません。ですが、消費者に誤認を与える手法として景品表示法に抵触する可能性があります。

また、「ステマの定義・範囲」もあいまいです。ユーザが「これはステマだ」と思えばそれが真実として炎上しかねないので、ステマと誤解されない慎重な運用が求められます。

(5)「インパルスバズ」で自然な口コミ投稿を促そう

一連のレポートでもお伝えしている通り、インスタグラムマーケティングで企業が乗り越えるべき大きな課題は「ユーザとの心理的な距離をどう縮めるか」です。

企業アカウントはそもそもフォローされにくいうえ、フォロワーを増やすキャンペーンも一時的な効果しか得られません。かといって、ステマのような手法はハイリスクです。

解決のカギを握るのは、ユーザとの心理的な距離が近い友人・知人(=一般ユーザ)。インフルエンサーや芸能人ではなく、一般ユーザが能動的に口コミを投稿したくなる仕組みを作ることができれば、閲覧するユーザの目にも留まりやすくなります。

インパルスバズとは

一般ユーザの口コミ投稿を増やし、ユーザを「ファン化」するには「インパルスバズ(Impulse Buzz)」が有効です(第2回レポート/第3回レポート参照)。

インパルスバズは、今回の調査から得られた知見に基づき、ビットエーが提唱する新手法。リターンを与えてユーザを集める既存手法とは異なり、「感情に訴えかける情報発信」を通してユーザに驚きや感動を与え、衝動的(インパルス)な拡散を促すアプローチ方法です。

割引やポイントを目当てにフォローした人は、短期的な関係性で終わってしまいます。ですが、感情に響くインパルスバズであれば、企業や商品に対するポジティブなイメージが自然に醸成され、能動的な投稿・フォローにつながるでしょう。

承認欲求を満たす投稿が有効

インパルスバズを発動させるには、まずユーザに「投稿したい」「フォロワーにも伝えたい」と思わせるコンテンツを作る必要があります。

SNSのユーザには「誰かとつながりたい」「自分を認めてもらいたい」という欲求があり、その傾向は今回の被験者にも見られました。これは「マズローの欲求5段階説」の「承認欲求」および「社会的欲求」に相当する部分です。

・承認欲求:他者から「価値ある存在と認められたい」と願う欲求
・社会的欲求(所属と愛の欲求):他者と関わりたい、集団に帰属したい欲求

この2つの欲求を満たすコンテンツは自然な口コミ投稿を促しやすく、連鎖的なフォロワー増加が見込めます。

コンテンツの方向性としては以下の6タイプが挙げられます。

限定コンテンツ

インスタグラムでしか公開されていない情報・画像や、特定の人限定の体験など希少性の高いコンテンツです。「ほかでは得られない情報」は人に伝えたくなるものですし、「役に立てた」と承認欲求も満たせます。

また、インスタグラムならではのコンテンツとしてはストーリーズを用いたプロモーションもおすすめです。「24時間で消える」希少性やリアルタイム性から、ユーザの注目度を高めることができます。

権威性のあるコンテンツ

著名人や専門家とコラボレーションした投稿を盛り込めば、アカウントの権威性を高められます。著名人に商品の魅力を語ってもらう、専門家に商品の優位性の裏付けとなる根拠を示してもらうなど、信頼性が高い第三者の視点を加えることでユーザの関心を集められるでしょう。

権威性のある投稿なら、ユーザも拡散しやすく「価値のある情報を発信できた」と感じられます。知名度を活かして心理的な距離感を縮める手法としては、キャラクターとのタイアップも効果的です。

ただし、ステマと誤認されないよう「PR」であることはしっかりと提示しなくてはなりません。

社会課題に対する提言コンテンツ

社会が抱えるさまざまな課題に対して提言する投稿も有効な場合があります。

企業アカウントが取り上げやすい代表的なトピックは環境問題です。CSRの一環として実施しているエコ活動やエネルギー削減の取り組みなどは共感を得やすく、企業イメージの向上にも役立ちます。

ユーザが参加できるコンテンツにすれば、さらに投稿・拡散意欲を高められるでしょう。「少しでも社会貢献できた」「みんなと一緒に取り組みに参加できた」ことは承認欲求・社会的欲求の両方を満たすはずです。

ユーモアのあるコンテンツ

ユーモアが感じられる楽しい投稿は、気軽に投稿・拡散されます。

商品名や特徴と絡めた「思わず笑顔になる」お笑いコンテンツや、「好きなアイテムでわかる性格診断」といった占いコンテンツなど、投稿に遊び心をプラスすれば企業アカウントへの親しみがアップします。

「笑いや癒し」は老若男女を問わず受け入れられやすいので、ポジティブな投稿の連鎖を生み出すでしょう。

お役立ちコンテンツ

豆知識やHOW TO情報などのお役立ちコンテンツは「有益な情報」として拡散されやすいです。あまり知られていない裏技や商品に関するマニアックな情報は、知的好奇心が強い人の関心を惹き、「ほかの人にも教えてあげたい」という衝動を呼び起こします。

ニュースコンテンツ

事件や芸能ネタ、スポーツ速報などのニュースは、リアルタイム性・話題性が高いため短期間に拡散します。企業アカウントでは、新商品や新店舗に関する最新情報を抜かりなく発信すれば「流行に敏感な人」や「その商品のファン」の投稿を促せます。

新しいものが好きな人にとって「最新情報にいち早く反応できた」ことは喜びです。スピーディーに拡散されれば、売上や客足の初速も高まるでしょう。

断片的なコンテンツ発信ではなく「ストーリーテリング」が重要

一般ユーザに自発的な投稿・拡散を促すには、上記のような琴線に触れやすいコンテンツが有効です。ただし「断片的な情報発信」に留まっていると効果が薄れる可能性があります。

マーケティングと心理学が専門のスタンフォード大学経営大学院教授Jennifer Aakerの研究によると、人の記憶に残りやすいのは「ストーリー」がある情報。「事実」や「数字」を並べた断片的な情報よりも、ストーリーがある情報は22倍も記憶されやすいそうです。

今回の調査では、海外のバイクメーカーの施策が秀逸でした。それは、バイクやツーリング風景の素敵な画像を投稿している人に予告なく限定ステッカーをプレゼントする施策で、選ばれた人は「驚き」「喜び」の感情から衝動的に投稿。投稿を見た人は「粋なサプライズをする企業」として強く印象づけられます。

ユーザの心の動きを予測し、希少価値のあるサプライズから投稿・拡散を促すストーリーをうまく構築したインパルスバズの事例です。

(6)効果測定にアンケート調査とユーザ行動観察調査を取り入れよう

インスタグラムマーケティングにはさまざまな手法がありますが、「売上への貢献度」や「購買プロセスへの影響度」が見えづらいところが難点です。

第4回レポートでご報告したように、インスタグラムユーザの購買行動はブラックボックス化しています。そのため、効果測定を従来のアクセス解析データだけに頼ると、多彩な行動パターンを見落とし、企業が理想とする購買プロセスをたどったCVのみを「効果」と捉えてしまうでしょう。

定量データだけでユーザ像を作り上げ、施策に落とし込むのはとてもリスキー。効果検証の精度を高めるには、アンケート調査やユーザ行動観察調査による「インサイトの深掘り」がおすすめです。

ユーザ行動の背景にある心理や事情をつかめば、得られた知見から「ユーザ目線」の魅力的な施策立案がしやすくなるはずです。既存の手法にとらわれず、ユーザ像の捉え方や効果測定に新たな視点を加えませんか。